文具と雑貨のお店 プチチケット
petit-ticketで扱う商品をテーマにしたフィクションのショートストーリー。
〜petit-ticketのある風景〜

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あおぞら


「明日は久しぶりの晴天となるでしょう」
TVの天気予報を見て私は彼にメールを送った。
せっかくの梅雨の合間の晴天、市民公園へデートに行かないか、と誘ってみた。
あまり乗り気でなかった彼も「サンドウィッチ作るから」と提案すると
「何時に行こうか?」と一転、前向きな返事がきた。
彼は私の作るサンドウィッチが大好きなのだ。

お昼前に彼と合流し、公園へと歩く。
「持つよ」
彼はそういう言うとサンドウィッチの入ったバスケットを大事そうに両手で持ち
顔の高さまで上げて、香りをかいだり、すきまから中をのぞいたりしている。
私はそんな彼を目を細めて眺める。
6月の日差しがまぶしい。

ベンチに2人並んで腰かける、目の前には大きな池。
「早く食べようぜ」
彼はもう待ちきれないという風にバスケットを膝の上に置いてそう言った。
「そうね。今日は、おかずもあるのよ」
私はもうひとつ別のランチボックスから、ポテトサラダやローストビーフやらを取り出す。
取り分ける紙皿も今日は少し違う。
ただの紙皿じゃあつまらない。お気に入りのお店で見つけた使うのがもったいないくらいの
ポップな紙皿。
多分、彼は食べ物に夢中で、気がつかない。そこだけ少し残念。

「はい、これも食べてね」
紙皿を渡すと
「おお、サンキュ。おかずも美味いんだろうな〜!この紙皿もかわいいじゃん」

気付いた!?

「そんなに食いしん坊かなぁ。いつも食べ物の事ばっか考えてるわけじゃないぞ。
お前との事だって、ちゃんと考えてるんだからな。
今日は、いろんなもん作ってくれてありがとな」

思いがけず晴れた日、思いがけない彼からの言葉。

6月の青空は、とにかくまぶしい。



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